2016年06月29日

好一対

先日出席したワイン会。ブルゴーニュの熟成したワインが出ましたが、95年と97年のシャルム・シャベルタンと言う水平までは行かないもののかなり近いワインが出ました。

一つはドメーヌ・デ・ヴァロワーユ(Domane des Varoilles)の95年、もう一つはジョセフ・ロティ(Joseph Roty)の97年(上位のキュヴェのもの)。95年は知る人ぞ知る硬くて開かない年。一方97年は早っ区から打ち解けますが、ジョセフ・ロティは若いときはかなり濃厚で屈強なタイプです。ヴァロワーユは・・・正直最近見かけませんね。目立つ生産者ではありません。ブルゴーニュワイン大全でも、名前と簡単な紹介は載っていますがそれだけ。まあロティも大して文章を割かれていませんが。(ジャスパー・モリス氏、あまり好きじゃないのかな?)

20160629_01.jpg


その飲み比べになりましたが、まず、ヴィンテージ評価がはっきり出ていたと言うこと。そして、ロティが随分早く熟成したことに驚きました。

ヴァロワー瑜95は熟成感もありますが、まだ鰹だしという感じではなく、昆布だしといった方が居ましたが納得です。タンニンこそほとんど感じませんが、まだまだ閉じた感じです。
一方のロティはエッジにややオレンジが見られ、香りにも味にもかなり鰹だし風味が入って来ていました。若いロティからするとかなり意外な印象ですが、97年当時は今より軽い作りだったのか?今飲むなら(ちょっと気の毒ながらも)名声通りロティに軍配が上がりました。勿論、この2本での比較の話ですけどね。

そして先週末の東急はルソーとラヴノーのお祭り2つ。ルソーはシャンベルタンとクロドベズが出てましたね。すごく良心的な値段なのは判ってはいるけど(*)、1杯9,500円(税抜き)じゃあ話にならない。まだこの日のヴァロワーユの方が惹かれます。無理な比較は承知の上で。
でも写真は撮っちゃいました。クロドベズ、カウンターでも珍しいから。

20160629_02.jpg



*:東急の13年の売値は1本59,400円。7杯取りなのでその意味では割高ですが、楽天とかで13年見て下さいな。「すごく良心的」の意味はすぐ分かりますよ。
posted by harukuni at 20:54| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月18日

炉心溶融_メルトダウン

「炉心溶融」を官邸が禁止しただあ??

あったりまえだろうが。あの状態でそんな言葉使えるわけねえだろうがボケ。

被災者サイドとか言ってるけど、あの状態で「メルトダウンが起きている可能性があります」なんて発表したら住民どころか東日本全体が大混乱に陥ったに決まってんじゃねえか。
(あの状況でも明日日本が吹っ飛ぶみたいな変な事を言っている奴は大勢いたんだぞ)

いま、とってもとっても安定しているから(誰のお陰なんですかね)当時のことを言えるんであって、私自身があの時感じた底知れぬの不安に、もし「メルトダウンの可能性がある」なんて言われたら、可能性であってもパニックになっていたかも知れない。そういうことを何も考えないで悪口を言っているマスコミとかに吐き気がする。

もし、その時官邸が「メルトダウンという言葉は使うな」という指示を実際煮出していたとしたら、あと50年後には賞賛されるに間違いない。危機管理として最適だったんだとね。私は、今賞賛するけどね。

今はタイミングが悪いんで、菅さんも枝野さんも知らんぷりしておいて大正解。選挙前で悪意を感じる、というのはやや言い訳感が有るけど、実際このタイミングで出すように自民党が流したんじゃないのと疑いを持つね。桝添騒動では結与党が傷を負いのは間違いなかったからね。

で、いまや選挙の得票ネタにされている、あの時死の目の前で闘った東電職員や下請けの方々は、勲章ぐらい頂けるんでしょうな。原発反対派の人間こそ誉めてやれよ。お前達が死ぬほど嫌がっている原発事故の、まさにその現場に、被害を食い止めるために本当に命を賭けて突進したんだからな。
(誉めていたらご免なさいね)
posted by harukuni at 00:15| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月16日

クラシカルなのに強烈なラベル

うーん。黄色い。

20160616_01.jpg


サンテミリオン、シャトー・コルバン・ミショット1996です。ボルドーの黄色いラベルと言えばサンジュリアンのレオヴィル・ポワフェレやクロ・デュ・マルキなどが頭に浮かびますが、どれももう少し落ち着いた色合いです。ここまでくっきり黄色じゃないですね。しかも、字の大部分がくっきりと赤いので一層目立ちます。強烈ですね。

文字の書体や配置、王冠など基本デザインはクラシックなので、一層違和感を感じます。

いつも使える91年版世界の名酒事典を見ると、86年は白いラベルです。この白ラベル、結構シュヴァル・ブランに似てるんですよねえ。ラベル変更はこれも関係しているかもしれませんが、それにしてもなんでこの配色を選んだんだろう。私は好きですけど。。。

コルバン・ミショットはコルバングループの中では評判が良い方ですが、1996は正直閉じていてあまり楽しめませんでした。もっと若いか、あと10年寝かせて老成させた方が良さそうです。
posted by harukuni at 22:11| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月08日

アルベリサ、ついでにビオンディ・サンティ

ワインもかなり長いこと飲んできて、知識も大分増えたと思っていましたがまだまだ甘い。驚かされる事があるものです。

先週の東急カウンターがイタリア特集で、最近はヴィナイオータが良く出てきますが、先週は知名度も値段も高い大物ワインの特集でした。ビオンディ・サンティ、ミアーニ、ルチアーノ・サンドローネ、ミケーレ・キャルロ等々です。

バローロが多かったんです。しかもサンドローネ3種類。それに、アルド・コンテルノが並べてあって、あれっ?と思いました。肩の部分に同じ刻印が書いてあります。サンドローネだけならワイナリーの瓶ということに成りますが、コンテルノにも同じ刻印。「ALBEISA」と入っています。

20160608_01.jpg


若手のソムリエさんと、お客とで「なんだこれ?」とわいわい言っていたらベテランのI氏が帰ってきました(師匠は今オーストリア真っ最中)。聞いたら、あっさり「あ、それですか?バローロ辺りの瓶の名前ですよ」

そうなんですか?全然知らなかった!

正確にはピエモンテでもバローロ生産地区周辺の瓶だそうで、バルベラやドルチェットなんかも使っています。ブルゴーニュ瓶に似ていますが、垂直の部分がより長いのと、口の部分の感じが特徴ですかね。

20160608_02.jpg

(比較対象がないからよく判りませんが・・)

そうか、ALBAの地名から来ているのか。
I氏ににいつ頃からあります?と聞いたら「70年代くらいから有るんじゃないですか」とのこと。今、世界のワイン事典91年版を見てみたら、確かに数社使っています。ただ、形は同じでも刻印は無い方が多いようだし、この当時はボルドー系の瓶も多く使っているので、あくまでこの本に載っている限りでは、シャトーヌフデュパプの紋章ほどは行き渡っていなかったのかも知れません。ヌフパプは紋章比率高いわ。

それにしても、独自瓶の形に名前が有るのは、フルート(アルザス以外はこういうのかな?)と、クラヴラン、ボックスボイテルくらいしか思いつきません。あ、キャンティの絶滅寸前フィアスコガ有ったけど、あれは「瓶の形の名前」とは言えないかもなあ。
勿論実際は呼び名があって私が知らない瓶型も一杯有るかも知れないですが。そういうの、他に有るのかどうか気になります。


ところで、ビオンディ・サンティの若いブルネロ私多分初めて飲みましたが、I氏が「普通より果実味が強くて開いている」と感想を。他の年はもっと薄くて固くて素っ気ないそうです。確かに、通常は全く別印象だと思われるポッジョ・ディ・ソットとそんなに変わらない気がしました(どちらも2010年)。

20160608_03.jpg
20160608_04.jpg


えー、それじゃ折角高いお代払った意味ないじゃん。残念です。複雑で、美味しかったんですけどね。(少しは味のことも書かないとなあ)
posted by harukuni at 21:33| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ワイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月05日

中世って魅力だよ

今とある本を読んでいます。670頁もあるでっかい本で。専門書なので値段は12000円(税抜き)!・・・人気高級ワインと比べりゃたいしたことないなあ。

書名は「中世天照大神信仰の研究」。伊藤聡著、法蔵館刊です。書店でじっくり立ち読みして、購入を決意して大満足。私の今の興味にズバリ的中しています。

ただ、余りにも濃厚な世界だし私はほんのかじった程度の人間なのでここで内容を紹介する能力無し。第一、ようやく3分の1強に達した所なんだから。ごく簡単に言うと、昭和の終わり頃までほとんど無視されていた、中世神話に関する論文集です。

中世神話が無視されていた大きな理由の一つは、書かれた当時は当たり前だったのですが過去の偉大な人が書いた事になっていて(仮託といいます)、それで「偽書」の烙印を押されていたこと。そして、もう一つ余りに内容が荒唐無稽だったからです。但しそれは、記紀神話を「正統」としたときの話とも言えますが、それを超えて近世の人達にすらわけわからん言説に思えたのは無理ないと思います。

しかしそれが今は非常に面白い。現代人が、如何に「合理的」で思想の奔放さが無くなっているかと思えてきます。ということで現代常識では理解不能な、また現在と認識が異なる、それぞれ1箇所ずつを取り上げたいです。

まずは、251頁、第二部第三章「天照大神・空海同体説」の一部です。既に章のタイトルからしてなんじゃそりゃの世界ですが。そこで紹介されている、11世紀前半に書かれた「初心頓覚抄」という史料を説明した部分です。その史料では、以下の各神仏・人間が同体なり垂迹なり、つまり基本同じだと書かれているそうです。

1.天照大神・観世音菩薩・弘法大師・大日如来が同体
2.救世如意輪観音と聖徳太子が同体、聖武天皇・聖宝はその(同体なんだからどちらでも同じ)の垂迹。
3.如意輪観音・大日如来・空海が同体。

勝手にひとまとめにすると、
・天照大神
・観世音菩薩
・如意輪観音・救世如意輪観音(観世音菩薩の変化だけどイコールではない)
・大日如来
・弘法大師空海
・聖徳太子
・聖武天皇
・聖宝(しょうぼう、醍醐寺を開いた真言系密教の大人物)
これだけの「存在」が実は同じだというのです(垂迹はちょっと意味合いが違いますが、「生まれ変わり」みたいなものです。乱暴に言うと)。

よくもまあこれだけ一緒くたにしたものです。感覚的にはとても受け入れがたい話ですよ。ちなみに、聖宝が含まれるのは、「初心頓覚抄」を書いた道範という僧侶が真言密教醍醐寺流の人だからですが、決して醍醐寺の中だけで細々と唱えられていたわけじゃないそうです。この本を読む以前から聖武天皇、聖宝がそれぞれ聖徳太子の垂迹だという言説は聞いたことがありました。


そしてもう一つの観点で。73〜74頁、第一部第一章「天照大神・大日如来同体説の形成」で解説されている、伊勢の両宮を真言密教の胎金両部説(っていうのがあるんです!)に当てはめている言説に触れた部分で、両宮に加えて別宮や摂社が登場しています。それがとっても面白い。
史料の一つは10世紀までには成立していたらしい(留保有り、同書200頁)「天照大神儀軌」で、皇太神宮、豊受太神宮の他に、
荒祭宮・瀧原宮・瀧祭神・月読宮・伊雑宮・伊佐奈岐宮・瀧原並宮・興玉宮(以上内宮)・月夜宮・高宮・風宮・土宮・児宮・北御門(以上外宮)

(表記は引用書の通り。内宮・外宮を並べ替えた)
が挙げられています。書きませんが両正宮以外の諸宮が仏教よりも陰陽道系の尊格に配当されていて、例えば泰山府君とか、現代感覚からすると異様なんですが、しかし私の興味はもっとシンプルに

外宮の「児宮・北御門」ってなんなんだ?


そしてもう一つの史料、こちらは図版が載せてあるのですが、神奈川県立金沢文庫に保管されている、『異本大事』所載「伊勢両宮曼荼羅」です。「異本大事」が文書の名前で、これは上記天照大神儀軌を踏まえて制作されているのだそうです。
図版なので漢字が読めない部分、推定半分の所も有るのですが、そこにしるされている別宮・摂社は。
宮・伊佐那木・瀧原・荒祭宮・大・瀧祭・朝熊・伊雑宮・興玉(以上内宮)
高宮・土宮・草ナキ・大間・雷?・風宮・月夜・御井・北(以上外宮)

となります。表記は図版のままです。?が読めない文字、赤い字は自信がない文字です。

まず、「立宮」って何?どう目を凝らしても、「立」の字にしか見えない。他の別宮と並べると、月読宮の事だとしか思えませんが、表記がどうやってもつながらない。
また、「雷?」は忘れるとして(おい)「北」は、間違いなく一文字なんですが、これは天照大神儀軌の方と照らし合わせて北御門の事だと推察します。重要な存在だったようですが、今に伝わりません。児宮は熊野が有名ですけどねえ。。。

「異本大事」の方は「摂社」が数多く含まれています。ちなみに大歳社、で正しいと思うんだけど、正しいとすると今伊雑宮の所管社になっている佐美長神社のことだと思われます。ここに載っている摂社は現存する摂社の中でも重要な存在で、延暦儀式帳にも載る古社ですが、草ナキと大間ってそんな重要だったのか。草奈伎神社は外宮の摂社筆頭だと聞いていますがここでようやく納得かも。(それにしても「草ナキ」ってネットニュースでSMAPの草gの記事を見てるみたいだ・・余談過ぎ)
これだけの摂社が取り込まれている一方、天照大神儀軌には乗っている瀧原並宮がないし、月読荒魂宮、伊佐奈彌宮は両者に漏れています。延暦儀式帳には載っているのに、何故含まれなかったんだろう。

という感じで、本書の意図のところで驚いたり、主旨からずれたところで興味津々だったり、実に面白い本です。でも、まともに訓練を受けず我流で古文漢文を読んでいるので、結構疲れるのがに瑕です。
posted by harukuni at 12:58| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 神社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする