プロフィールに書いていますが、私の一番のお気に入りワインは、ペサック・レオニャンのシャト・ラヴィル・オー・ブリオン。白です。
ペサック・レオニャン、というかボルドー全域で、最も評価の高い白の一つです。しかしボルドーでは白は知名度が低く、ラヴィルもさほど知られていません。二つの例外、ソーテルヌのシャトー・ディケムと、グラーヴのシャトー・オー・ブリオン・ブランを除いては、ボルドーの白は無いに等しいのです。
しかも、このラヴィル、ファンの私が言うのだから間違いないのですが、何しろ美味しく飲めるまでに時間が滅茶苦茶かかります。10年から15年は、何にも面白くない。リリースされて数年は、樽の香味しか有りません。よく味わうと、非常に濃厚な果実や酸・タンニンがあるのですが、全然出てこない。普通、美味しくないと思います。
それが、いつしか変身するのです。ものすごく豊に、かつシャープに、ものすごい集中力を発揮するようになります。
とはいえ、いつそうなるか全く予想が立たないので、何本か買って時々味を見るしかありません。そんなつもりで、先日買った1992年物を味見していました。
開きかけてはいますが、まだまだパワー全開とは言えないなあ。そう思いながら、手元の納豆巻きに手を伸ばしました。一口かじる。
なんで納豆巻きなんじゃ!という突っ込みは甘んじて受けます。でも、それしかないんだもん。開いてるかどうかわからないものを、ワイン会に持って行けないんだもの。家で飲んだら、付け合わせは表で買ってきた納豆巻きぐらいしかないんだよ。
一口かじって、それから習性的にワインを飲む。飲み下す。
うまい!納豆巻きとラヴィル・オー・ブリオンが、マリアージュしてる!
信じ無くったっていいですよ。どの教科書見ても、誰の意見を聞いても、納豆巻きとペサック・レオニャンの最上級ワインが合うなんて、そんなこと言う人いないよ。第一、考えもしないよ。合わせようと思わないよ。
でも、事実は事実。納豆のうまみと、ラヴィルのうまみ・コクが見事に重なり合い、組み合わさって、素晴らしいアミノ酸のうまみ、和食のうまみの最も力強く、かつ優雅な風味を演出している。特に、後味の豊かさ、長さには感銘を受けます。
元々、ラヴィル・オー・ブリオンは恐らくその樽使いの故に、長い熟成の後にも樽香を残し、それが葡萄由来の要素と交わって、「チーズのよう」と言われる風味を持つようになります。チーズと言えばタンパク質が発酵したもの。動物質と植物質の差はあるにせよ、納豆との近縁性も言われます。
だから、納豆と合ってもおかしくない!のです・・・本当に?
これが、混ぜたての納豆のように臭いが強かったらそうはいかないかも。だから、納豆巻きが良かったのかも知れません。挽き割りの納豆で酢飯に包まれ、味はあるものの臭いは弱まっている。この状態だからこそ、合ったのかも知れない。
ということで、ボルドー最高級の白ワインは、納豆巻きと相性が良いのです。・・・って嘘だな。恐らく、ラヴィル・オー・ブリオンだけが合うのです。ラヴィルの樽使いは特殊で、この風味は、私の知る限りラヴィルにしか有りません。
と言うわけで、全世界のフレンチレストラン、ラヴィルを置くのなら、納豆巻きは欠かせませんぞ。
でも、本当はもう少し追試しないとなあ。高く付くなあ。


