2017年04月12日

お稲荷様の祭神はヘビーだった

日本中に数え切れないほどあるお稲荷様、稲荷神社。祭神を気にしたことがある人なら、その種類の多さに戸惑ったことがあるんじゃ無いでしょうか。少なくとも私は戸惑いましたよ。

何しろ仏教のダキニ天まで入ってくるんで手に負えないんですがこれは横に除いたとしても、大きく3系統、プラスたぶん1つの計4系統有ります。3系統を並べると。

1.宇迦之御魂「うかのみたま」
2.保食「うけもち」
3.倉稲魂「うかのみたま」

になります。「うかのみたま」は一緒ですが、漢字の違いが大きい。

全国稲荷神社の総本宮、伏見稲荷大社のご祭神は宇迦之御魂命。宇迦之御魂は古事記に出てくる神。スサノオの孫です。一方保食は日本書紀に出てきて、アマテラスの弟ツクヨミを歓迎しようと口や尻から食料を出してもてなしたところ、穢らわしいとして斬り殺されてしまった神様。う〜、ちょっとけがらわしいかもなあ。しかしその亡骸から様々な食料(動物含む)が生まれたんだからとっても感謝しなきゃいけない神様です。
動物にしろ植物にしろ、人間が食料にする時には切り刻むので、それを表していると言われています。

宇迦之御魂は刻まれちゃう役では無いのですが、親が大年神でこれも豊穣神。やっぱり食料の神様ですね。(なお、古事記で刻むのはスサノオです)

この宇迦之御魂と保食、全然関係ない感じの名前ですが、じつはかなり似ている。

まず「ウカノミタマ」は、ウカが主体で、ミタマはあくまでその魂という意味になりますね。
一方「ウケモチ」はウケとモチに分かれる。ウカとウケって似てますよね。モチが違うじゃ無いかと思いますが、実は「モチ」は「オオナムチ」(大国主の別名)「オオヒルメムチ」(アマテラスの別名)などに見られる「ムチ」と同じで、神を示す意味の言葉なのです。

ウケだと判りづらいですが「御食」と書けばどうでしょう。ミケで、尊い食事を表し、神に供える食事のことになります。「ウ」も「ミ」と同じに捉えて良いんだそうです。なのでウカノミタマとウケモチはかなり近い意味になるわけですね。

じゃあ倉稲魂だって同じじゃないのか?

いや、なんか違うんですよ。しょっちゅう「稲倉魂」って書かれてるし、最初「蒼稲魂」って何だと思ったらくさかんむり付けてるじゃん。文字が軽すぎません?
でも、「倉稲魂」は「宇迦之御魂」より食料が倉に一杯そうで豊穣のイメージには合う。とは言えどこをどう押しても「うか」が発音できなく無いか?漢字と読みが乖離してるからこんぐらがるんじゃないかと。
それを言ったら保食が「うけもち」も相当厳しいけど、こちらは日本書紀様がそう読めと言ってるんだから仕方ないじゃないのよ。(実際には日本書紀じゃなくて平安期の知識人。倭名類従抄には和名:うけもちで載っている)

で、ようやく今日の主題に到達。そもそも「倉稲魂」という神様の名前がいつ頃出てきたのかが判らなかったわけですよ。宇迦之御魂と保食は記紀にあるのに。とはいえ調べ方すらわからんと思っていたらなんと。伊勢神道の重要文書、「倭姫命世紀」に出ているんだとか!

こうなっています。
元丹波国与謝郡比沼山頂麻奈井原坐御饌津神。亦名倉稲魂是也。大自在天子。(中略)[崇神]天皇即位三十九年七月七日天降坐。
(高橋美由紀「伊勢神道の成立と展開【増補版】」P198 返り点は、横書き無理有りすぎ)

[]内は和風諡号になりますが長いのでご容赦を。これ、つまり伊勢外宮の豊受大神のことなのです。
「倭姫命世紀」は外宮についてそんじょそこらの世迷い言を書く本では有りません。成立は鎌倉時代前半と言われ、つまりその頃には「倉稲魂」が存在し、豊受大神の別名と言って不思議じゃ無かったわけです。

今外宮と倉稲魂と御饌津神の話を始めようにも私の頭の中で収拾がついていないので触れませんが、一つ言うと「倉」という文字が外宮という場においてクローズアップされる可能性があります。外宮では(神宮全体かも)、倉は単なる収納用の建物では無かった可能性があるからです。

最初に書いた第4系統は、祭神を「豊受姫」にするものです。多くはないですが存在します。「豊受稲荷」というそのまんまの名前になっているところも多いですけどね。やっぱり判りづらいんでしょうか。姫になるのは、これまた、とっても気になるところ。外宮の豊受大神は通常女神では無いんです。

比沼山の麻奈井原伝承が関係していそうですが、もっと手に負えないのでここまでにします。
posted by harukuni at 22:42| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 神社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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